大珍楼で古典お祝い料理の宴会を行いました。もとはといえば、黄色いお店お某最速シェフがパリの下町中華で「この仔豚の丸焼き、どうですか?」とおっしゃるので、正直に肉質は素晴らしいが皮の焼きの技術がもう一歩でサクサク感が出せてない、ならば横浜で抜群の腕利きがいるのでやってみましょうかということになりました。

本来はテラスで焼く予定が、残念ながら季節外れの台風で厨房焼きになりました。厨房見学をしてから宴会スタートです。

 

片皮乳豬體

見事な焼き上がりです。大珍楼の焼物師の腕前は、あちこち高級店を食べている人に言わせても日本一だとか。

お値段は1台8万円からになります。12人で食べてちょうどいいサイズです。仕込みには一日かかるということです。大珍楼でも年間1−2回しか注文が入らないのに、厨房には立派な専用設備があるんですよ。

 

 

パリパリの皮と程よい皮下脂肪が美しく仕上がってます。一瞬で終了です。

 

表面に、芥子の実のような細かいつぶつぶが浮かび上がっているのが最高の焼きあがり具合を表しています。歯を立てると少し抵抗してからサクッと歯が入る食感が最高です。1枚しかないのが辛い。

 

杞准燉水魚

二品目は伝統のメニュー組み立てに従い、スープです。水魚のスープなのですが、魚ではありません。廣東では水魚はすっぽんの意味です。龍眼や漢方材料、金華ハムなどが入っていて体がすぐに温まります。雑味は微塵も感じない仕上げがさすがです。コラーゲンいっぱいで女性に好評でした。

 

玉環瑤柱甫 大根の貝柱射込み旨煮 日本人からするとイマイチテンションのあがらない大根という食材ですが、わかってる人からみるとお金を表すデザインになっていて、テンションがあがります。さすが古典料理を知り尽くした大珍楼という一皿でした。この旨煮のソースが素晴らしく深みのある味でした。

 

富貴乳豬件

仔豚の丸焼き二皿目。こちらは肉もいっしょに戴きます。肉がジューシーでうまみたっぷり、蛋白なはずの仔豚の肉がものすごい美味しい一皿です。

 

百花竹笙巻

これもお祝いには欠かせないキヌガサタケの料理。中に入っているのは蝦でした。高級になるとツバメの巣なのですが、蝦や蟹のほうが美味いんじゃないかと思います。

 

 

生菜乳豬崧 

仔豚の丸焼き三皿目は、そぼろにした仔豚の肉をレタスに巻いて食べます。シャキシャキした食感はクワイだと思います。仔豚の丸焼きの肉は味がほとんどしない的なイメージがありますが、今回はしっかり味わいがある肉の上に味付けが下品になるギリギリまで攻めていて、過去最高の仕上がりでした。

 

生猛酔翁蝦 上湯米粉

酔っぱらい蝦です。いまどき見ませんね。30年位前は高級店では必ずあったメニューです。酔っ払ってくると蝦が物凄い勢いで跳ねるなかなか残酷な料理です。良いエビは変に手をかけずそのまま食べるのが一番贅沢だということがわかります。上湯で茹でるのですが、そのスープには米粉を入れて2回めのスープとして供されます。丸鶏金華ハムほか高級食材が放り込まれているので素晴らしい味です。

一つ不満は、おかわりができなかったことです。そのくらい素晴らしかった。

 

叉焼 脆皮燒肉

お土産に叉焼の希望があったので、お店の人が他の人にも味見をと出していただきました。これが大ヒットでした。大珍に腕利きの焼物師がもどってきたというので、焼き物宴会をやろうかと企画したこともあったのですが、今回ようやくありつけました。

叉焼は肉の中まで麹の甘みが染み渡っていて繊維に絡みついている感じです。

皮付き焼肉にはやられました。むらなく見事に焼きあがっています。ピンクのうっすら残るこの焼き加減は、コタキナバルの街の名店で食べて以来です。あそこが世界一かと思っていましたが、大珍樓のものも同レベルでした。焼き立てをそのまま厨房から持ってくる宴会をやったら、どんな素晴らしい一皿になるでしょうか。

 

藩茄炒飯

今回、一番ハイリスクな一皿がでてきました。トマトケチャップ炒飯です。赤いものでしめるあたりが香港らしさそのものです。縁起物なので美食の類ではないのですが、すごく真面目につくってあって、味は美味しい洋食屋さんのケチャップライスのそれです。いまどき高級店では出てきません。まさに古典料理。

 

参加者に本物のパティシエがいるのでデザートもドキドキしていましたが、デザートもやってくれました。ココナッツぎゅうひと、マカオ風エッグタルトです。

基本的に他の人がつくった甘いものは食べない御方ですが、古典料理というテーマなので笑って食べてもらえました。

 

昔のグルメたちが食べていた正統派広東料理ですが、いまの日本ではこういう流行らなくなった料理は一生食べる機会がないと思います。原典を知るおもしろい食事会になりました。

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