ネット上で広まった某東京都知事候補の演説で盛り上がっている日本のそばでは、海をまたいだネット論争が始まっていました。
台湾の女性アイドルで、楊丞琳という女の子がいます。今年22歳の彼女はぶっとび系の明るい女の子で、台湾のみならず香港などでも人気のようです。彼女が4年前にバラエティ番組のクイズで聞かれた抗日戦争の問題に間違えたことから今回の騒動は始まりました。先日、改めて謝罪を行ったところ、逆に話題に火が付き、とうとうこの問題に関する特集ページ
http://ent.163.com/special/000327U7/yangchenglin.html
まで組まれています。あわれ彼女は中国ネチズンたちの不満のはけ口になってしまいました。
●掲示板炎上中 罵倒の中国ネチズンと余裕の台湾ネチズン。日本人も参戦
中国大陸側のネット新聞では、読者による批評コメント欄があります。原稿執筆当時で2000を超えるコメントがつき、さらに増える勢いは衰えません。コメントのほとんどは彼女を犬に例えたり、それ以上に過激な表現の国粋主義的な罵倒ですが、一部には彼女の発言後の対応を認めるコメントもあります。
台湾の楊丞琳オフィシャルサイト
(http://www.sonymusic.com.tw/pop/rainie/index.php )
の掲示板 にも、大陸からの罵倒コメントが大量に書き込まれました。単発の罵倒から同じコメントを何度も繰り返すものまでさまざまです。また驚いたことに、日本からも日本語,英語,中国語(繁体字 簡体字)で数多くのコメントが寄せられています。内弁慶だった日本のネットユーザーが海外のサイトに書き込みをするのは珍しいことだと思います。すこし感想を述べさせてもらうと、三者の議論はかみ合っていません。相手の錯覚を論理立てて指摘することが必要だと思いました。
●台湾では、南京大虐殺のようなものは教えられていない? 海峡を挟んだ心の大きな溝
大陸側ネチズンは学校教育内において南京大虐殺に対する政府見解を学習しており、強烈な拒否感を持っています。書き込みも罵倒が多く、なぜ彼女を批判するべきなのか筋道立った書き込みは目立ちません。
ところが、台湾側ネチズンの発言では論理立てた書き込みが比較的多く見られ、おおむね冷静です。さらに「そもそも南京大虐殺に関する教育を受けていない。台湾では芸能人の問題発言が発生したことはあるが、ここまで侮辱を受けることは無かった。(大陸側は)大変恐ろしい。」と語ります。また、「我々台湾人は中国人とはまた別の文化を持った国である」という発言も見られます。
北京で中国人の話を聞く限りでは、近い将来に台湾が「戻ってくる」と思っているようですが、今回のネット論争で海峡を挟んだ2地域の人の心に大きな温度差を感じました。また、大陸のネットユーザー(おそらく若年層)の日本に対するイメージの悪さも再認識しました。彼らが経済の主役となる今後約20年は、日中関係に大きな障害が残るでしょう。
精神的な近代化が遅れている中国、精神的な退化を起こしている日本若年層。知人に言わせれば「DQNのレベルはどっちも同じ」です。
※補足
一般記事向け原稿(ボツ)なので書かなかった部分がありますが、この騒ぎは彼女流の大陸に対する強烈な風刺の結果なのだと思います。
大陸にいる外国人は、共産政府の言うとおり台湾と中国が併合すると思っていますが、私の台湾人の知り合いなどの気風を見る限り大陸とは一緒になりたいと思っていないと思います。なにしろ、彼ら大陸出身者は共産党に殺されるからという理由で台湾に逃げてきたわけですし。日本人よりはるかに共産政府の本質を理解しています。金を持っていて、政治的軍事的に弱い立場になれば、殺されて身ぐるみ剥がれるのみです。
こちらの記事は更に良くまとまっています。
http://fukushimak.iza.ne.jp/blog/entry/148162