耀州窯に青磁を訪ねる

今回、なんで旅に出ようかと思ったかというと、この耀州窯に行くためでした。ここの窯で作られている北宋の茶碗の模造品(出土品の型で抜いて作っているホンモノのニセモノ)が目当てです。従妹が茶道を始めたので、ぜひ国宝クラスの茶碗でお稽古をしてほしいなと思っていました。

本当はスーツを仕立てるためにキープしておいた予算でしたが、思い切って旅費として使うことにしました。

西安駅のバス停から銅川市までは15分間隔でバスが出ています。運賃は22.5元です。黄土高原を抜けて1.5時間ほどで銅川市につきます。そこから地元のバスに乗り換えて博物館に向かいます。仕事してなさそうな案内所のおばちゃんに聞くと、博物館付近に停車するバスがあるといわれて乗り込みました。

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車掌に「耀州窯博物館に行く」と伝えました。銅川のバスターミナルから20分ほど走ると、突然「耀州窯博物館」の文字が見えました。あわてて車掌に「降りる!」といって下車します。「ここじゃない」「いいからここで降りる」と押し問答の末、バスを飛び降りました。

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はたして、ここは目的地でした。バスの反対側の座席に座ってたら行き過ごしていたこと間違いなしです。なんという幸運。しかし、中国では相手の言うことを聞いていると必ず思わぬ結果となります。かなり嫌な国です。

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博物館はほぼ無人でした。これでも国家AAA級の文物保護単位です。

やることなさげな老人がとぼとぼ歩いていて、捕まえてみたら切符売りでした。中に入ると、やはり所在なさげな切符切りの女性が2人。展示室は真っ暗です。いい陶器があるのですが、あかりのため実力がまったくみえません。

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第二展示室にかかりの女性がいました。話をしたら、電気をつけてくれました。すばらしい!へやいっぱいの陶器に命が吹き込まれた感じで、宝石が並ぶような部屋になりました。別に写真をとってもなんとも言わないのが助かります。ここの収蔵品の写真集は日本でも出版されているので日本に帰ったら買いましょう。

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第四展示室は目を見張るものがありました。おそらく東洋最高の水準だと思われる収蔵品です。北京の歴史博物館、首都博物館、上海博物館の陶器展示などは足元にも及びません。上野の国立博物館すら及びません。官窯として宮廷用の陶器を作ってきた耀州窯の名品が窯の歴史を追って一同にそろっています。ここを超えるのは、アジアでは台北の故宮博物院しかないでしょう、そんな気がします。

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その後、香港人同学の希望により轆轤引きにチャレンジです。日本人同学はあっというまにひとつ完成。私も小学校のときに2年ほど習っていたので、あこがれの電動轆轤初体験に苦労しましたが茶碗ができあがり。香港人同学は始めての陶芸体験で苦い思い出ができたようでした。陶房のおじさんが、ものすごいできばえの青磁のどんぶりでまずそうなぶかけ飯を食べていたのが印象的でした。

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ここのお土産部門はなかなかの規模です。ほとんどは現代中国人好みのものばかりですが、一部、出土品の型を使って当時と同じ品質のものを模造しています。「茶碗がほしい」というと、裏手の工場にある倉庫に案内されました。

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ここにある製品は、現在の日本陶磁器の品質からみると、どれもBC級品レベルでした。茶碗はどうして瑕疵があるほうが「味がある」といわれるのかわかります。唐物に一級品質なしです。どこかしらにトホホな欠点があります。中でも状態のいい3種類を買い求めました。北京で飯茶碗として使った後は、一番いいのを従妹のお稽古用にプレゼントする予定です。一番の敵は自分の母親です。欲の皮が突っ張ってるから、全部自分によこせというに違いありません。あとで電話で話したら、案の定でした。

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最後に、博物館のそばにある窯あとの発掘現場を参観しました。やっぱり暇そうなおじさんが切符売り。観客は当然いません。なにしろ、ここの建物、看板が剥がれ落ちています(苦笑) これでも国家の宝なのです。交通アクセスが異常に悪いので、お客もこないのは仕方ないですけど。

Author: damarinz

原来我是北京人,现在在东京,所以我是个“北京原人“

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