多分一生に一度のクレイジーな宴会を開きました。本物の中華料理を求める皆さんの参考になるように公開します。
佛跳牆宴 30年前に「美味しんぼ」で究極のスープとして紹介されていたものです。私も人生で二回目ですが、今回はオーナーシェフ(老闆)の全力投球で筆舌に尽くし難い素晴らしい宴会となりました。一ヶ月前からお店に通い、なんどか打ち合わせして1週間前から仕込みを開始(ここからはドタキャンがあっても引き返せない)という大掛かりなものでした。オーナーの奥さんですら、「老闆(旦那さん)は何度か見てるけど、自分は初めて見る」と言っていました。
初めて店に行ったときから変人扱いされてたらしく、「フカヒレ食わないか?すごい宴会できるぜ」(もちろん中国語)とロックオンされていたのですが、今回の参加者の最速シェフが、佛跳牆を食べたいとおっしゃるので、じゃあ確実な大珍楼か、でもあのやる気に満ちた南粤ならと相談に行きました。
さっきまで愛想よく笑顔だったオーナーシェフはスイッチが入った座った目で「できるぜ」(もちろん中国語)でドヤ顔。「やれやれ、この日は昼も宴会入ってるし、商売にならないな」(もちろん中国語)。
メンバー人選など、幹事側もどきどきしましたが、どこの香港の最高級酒店かというような料理が出てきました。中華街のコックの渾身の一撃でした。おそらくこの瞬間に世界で一番美味い物を食べていたのは我々だと思います。
もし同様の宴会をしたい場合は、お店に通って仲良くなってください。お店側も丸一日営業できず、キャンセルが出たら大赤字というリスクがばかでかい企画なので、あまり気安く勧められません。お店サイドに全力を出してもらうため、言い値で払ってください。そしてメンバードタキャンなどのトラブルがあったら幹事が全額払うくらいの覚悟が必要になります。
酔狂な企画に巨大なリスクを取って参加してくれた皆様、本当にありがとうございました。
やる気まんまんのシェフ。昼の宴会をお断りして用意してくれました。
福臨門の名物メニュー 當紅脆皮雞を仕込んでいました。こんなのを目の前で見られるとは。
横では、巨大蒸し器で佛跳牆を蒸しています;
デザートの吉林省産 雪蛙の卵管コラーゲンです。
邱永漢さんが香港の福臨門で食べていたような凄いメニューです。
前菜 シェフの彫刻の冴えが素晴らしいです。
二品目にはスープという正しい広東料理のメニューの組み立てです。蓋をあけると素晴らしい匂いが立ち込めて全員が歓声をあげます。巨大なナマコが見えてます。アワビも人図分入っています。魚の浮袋も見えていますね。
上に乗ってるのは金華ハム、というのが日本の食通の共通認識ですが、ちょっと違う感覚を感じたので後で聞いたら、雲南の火腿だそうです。伝統料理マニアとして猛烈に感動しました。
下には烏骨鶏とフカヒレが埋まっていました。
巨大な干ししいたけ、貝柱。全ての材料が猛烈な存在感を出しつつ調和しています。一口づつ、水で口をリフレッシュしながらいただきました。連続で食べると味がわからなくなってしまうのです。そんな感じでゆっくり食べていたら、店の人に味見用に最後の部分をと思ってた分を参加者が豪快にかっさらっていきました。
他の参加者の感想はこちら
http://yaplog.jp/rose_tomoe/archive/5008
http://www.okamooo.jp/archives/9618506.html
この彫刻の素晴らしさ。巨大法螺貝の炒め物に百合根とヤングコーンが入ってます。主役級の一皿が脇役です。
當紅脆皮雞 これが日本で食べられるとは思いませんでした。丸の内の福臨門に行けば食べられるのでしょうが。私の守備範囲ではないのです。
巨大伊勢海老の炒めもの 最高にプリプリですね。このサイズは初めてです。
ハタの蒸し物 富富餘裕というお金が儲かりますようにメニューです。
鰻のトウチ風味です。あの鰻を切断することなく鱧のように一本のまま包丁を入れています。ものすごい技術だと思います。
薬膳の田七を使った金銀菜(鹹蛋と皮蛋)。
伊府麺
最後は雪蛙の薬膳コラーゲンデザート。他人の作った甘いものはほとんど手を付けない最速シェフが興味深そうに食べていました。横浜で私でもこんなものが食べられる日が来るとは思いもしませんでした。
いつも中華料理の奥深さを感じさせてもらっていたので、また記事が投稿されないかなぁと心待ちにしておりましたが、久々の記事に十分、楽しませてもらいました。龍鳳はたまに行きますが、安心・安定のおいしさですよね。中華街は昼飯に行けないところではないので今度、このお店にも行ってみようかと思います。