あれは10年前のことでした。私が北京に行く直前、食べに来たのが神田の味坊。まだ全然有名になって無かったころの話です。
その時食べたのは孜然羊肉と、チャーハンでした。まだ東北料理の特徴を知らなかったのです。出て来た料理は男二人で食べきれるかどうかの山盛り。「お前日本人のくせにわかってるじゃないか」的な店主のドヤ顔をよく覚えてます。食べきるのは無理だったので持ち帰って翌朝もう一回食べました。
東北料理の特徴は、「量が多い」なのです。
そして1年間の武者修行を終えて帰国後、変わらない姿で店はありました。夜8時ごろ行ったら、店主が完全に酔いつぶれています。何があったのか。店員に連れられて帰ってしまいましたが、困ったことが起きました。店の中には日本語を話せる店員がいないのです。店員たちはパニック状態。サラリーマンも完全に呆気にとられています。
仕方ないので、迷い込んで来たサラリーマンの注文を通訳してあげます。いやー、カオスだなーと大笑いでした。
その後、自然派ワインの商社の人が気に入って、GQとかで紹介されて一気にスター街道にデビューした味坊。昔はサラリーマンと一部のコアな中華マニアしかいなかったのに、今では女性の方が多くなってしまいました。
新しい店を出したというので、お祝いがてらやって来ました。
羊肉串 5種類。レバーとか入ってて楽しいですね。すごく綺麗に焼けてます。梁さんが店先の炭焼きした荒々しいものの方が北京を思い出して好きなんですけどね。
思い出の孜然羊肉。こちらも小洒落たものになってます。前の荒々しい肉炒め的なものを期待していたのですが、こちらはオシャレなお店。表参道中目黒あたりで出してもいいんじゃないか的な感じです。
味は随分方向性が変わったけど、古い仲間の顔を見ながら食事するにはいいですね。初めて来る人連れて来て「ナンジャコリャ」という顔を見る楽しみはないのですが、誰でも気兼ねなく入れるのは裾野が広がっていいと思います。梁さん、たっぷり日本夢を実現してね。